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​ 赤い大地

 遙かな未来…。

 失われた歴史を語り継ぐ者は伝える…。

 

 火星に人類が移住し始めた頃、地球は、小惑星の衝突によってほとんどの生命が死に絶えた。生き残った人類は、国、人種、宗教、階層を超えて結集した。そして火星をさらに、地球に近い環境の星に造りかえて移住した。そして西暦を火星歴に改め、人類は新たな歴史を歩んだと…。

 

 地球の三分の一に過ぎない重力と厳しい風土のもと、人類はその影響により、筋力の著しい劣化や、免疫力の低下,そしてその身体が奇形化するのを防ぐことが、大きな課題となった。特権階級を持つ一部の人間は、その身体を人工物に造り替えた。そして生命に厳しい環境下にある火星の赤い大地を、制限なく活動できる身体と長い寿命とを手に入れたのである。

 そんな彼らの中で、特に力を持った者が現れ、科学者たちとともに“失われたテクノロジー”によって、重力を地球とほぼ同一に保つ七つのコロニーを造った。そして他の人類を、そこに住まわせ支配した。コロニーはやがて高度に発達した都市国家となり、経済の発展にともなって貧富の格差を生み出していく。七つの都市国家は、限られた資源を巡って覇権を争い、戦争を始めた。憎しみが生まれ、各地でテロが相次いだ。

 それは身体を造り替え、支配階級となった者たちと、都市国家という鳥かごに入れられた被支配階級の者たちとの輪廻の如く、繰り返される闘争…。

 そして支配者同士の終わり無き戦い…その歴史。

 火星歴515年。

 物語は、その最中より始まった。

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