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アウンサンスーチー女史について

更新日:2021年9月29日

ミャンマーで国軍によるクーデターが起こってから、2ヶ月余りが経過しました。

ミャンマー本国では、各地で連日のようにデモが繰り出され、またミャンマー人が在住するあらゆる国々でも、人々は立ち上がっています。この日本も、もちろん例外ではありません。

名古屋や東京などでは、大勢のミャンマーの若者がデモ隊を組織し、市街地を行進していく様子が報道されたことは、記憶に新しいところです。

「チェーズー ティンバーデー(ありがとう)」を執筆するきっかけとなった、わたしの友人たちは、名古屋に在住していますが、彼らももちろん、民主化を取り戻す闘いに立ち上がっています。

しかしミャンマー国内では、そんなデモ隊に対し国軍が銃を向け、500人を超える死者が出るという痛ましい事態が起こりました。その中には子どもも含まれており、その所業による国軍の罪は非常に重いものがあります。

しかし、ミャンマーの国民は諦めることを知りません。

公務員、医療関係者、そして学生や子どもまで。死者を出してもなお、その不屈の精神で国軍に立ち向かう彼らを見ると、もはや「敬意」という言葉でさえ陳腐に思えます。

彼らのエネルギーの源、そして精神的支柱はどこにあるのでしょうか?

軍事政権に対する怒りや、ビルマ仏教に根ざす精神性など、様々あると思われますが、中でもアウンサンスーチー女史の存在は、絶対に欠かすことはできません。

「ビルマ建国の父」と呼ばれる英雄、アウンサン将軍を父に持ち、インドでガンジーの「非暴力不服従」の思想や精神を学んだスーチー女史。

 彼女のカリスマ性がいかに凄いものであるかは、ミャンマーの総選挙における、彼女が率いる政党「NLD」の得票率を見れば一目瞭然です。特に1990年の総選挙では、90パーセントの得票率で、約8割の議席を獲得したと言われています(国軍は政権の移譲を拒否)。

スーチー女史が平和的なデモや集会、そして対話で、ミャンマーの国民と共に地道に母国の民主化を模索してきた姿勢は、国際的にも評価され、1991年にはノーベル平和賞を受賞しました。

残念ながらロヒンギャ族に対する国軍の残虐行為を、国連の場で擁護する発言をしたために、その評価は失墜してしまいましたが、長年対峙してきた国軍と共同して国営にあたる難しさも、わたしは垣間見える気がしました。

このスーチー女史、実はわたしが高校生くらいの時にテレビのニュースで、初めてその存在を知ったのですが、軟禁状態にありながらも折れることのない、彼女の不屈の精神性は、まさにわたしの憧れでした。

いま再び、国軍の手に落ち、軟禁状態に置かれているであろうスーチー女史。

齢70を超えてなお、国軍と闘い続ける彼女の運命に、わたしはただ、ミャンマーの国民共々、ささやかな力添えができれば…と願うばかりです。


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著者 加藤康弘プロフィール

1972年生まれ。愛知県幡豆町(現西尾市)出身◆高校時代より小説を書き始める。民主文学会に所属し多数の作品を生む。代表作「黄金の国」(民主文学2014年5月号掲載)◆2007年愛知県吉良町(現西尾市)町議会議員当選。1期務める◆空手道豊空会初段◆在日朝鮮人やビルマ民主化運動の活動家など多くの外国人を取材し交流をもつ。

推薦 浅尾大輔プロフィール

1970年生まれ。愛知県新城市出身1995年、第1回民主文学新人賞に応募、小説「ラウンド・ツウ」が佳作入賞。1997年、小説「ボンネットバス」で第1回伊豆文学賞優秀賞受賞2003年、小説「家畜の朝」が第35回新潮新人賞を受賞する評論家大澤信亮や画家増山麗奈らとともに、かもがわ出版から雑誌『ロスジェネ』を発行、2010年の終刊まで編集長をつとめる主な著書に「ブルーシート」など。

                 

 

新潟県出身横浜市立大学を経てフジテレビに入社「FNN朝駆け第一報!」のお天気コーナーでアナウンサーデビュー。「おめざめ天気予報」、「あなたの東京」など、数々の番組を担当。フジテレビの基本提供アナウンス「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします」もナレーション。スポーツ記者や女性として初のプロ野球中継アナウンサーもつとめた現在は(株)シグマ・セブンに所属。舞台に上がりながら、youtubeチャンネル「菊池家リビングシアター」で太宰治や森鴎外など、数々の短編を朗読劇で配信。

チェーズー ティンバーデー(ありがとう)朗読 

松井みどりプロフィール 

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